●●●● No.87/win様 ●●●●


あなたにバレンタイン
あなたは、私のことをいつも怒ったりからかったりして、私の前で笑ってくれたことって
無かったですね。
でも今日は、あなたの笑顔を見たくて、あなたの口から私を誉めて欲しかった・・・。
だから・・・。


「おい!海軍だぞ!」
サンジの声が響く。ルフィ達は声の響いた方向を見た。
海軍の船が1艘。MARINEの文字と、かもめマークが見える。
「どうする船出すか?」チョッパー。
「いや、ちょっと待て・・・」サンジ。
だが、次の瞬間海軍の船からは怒声が聞こえた。
「・・・・・・・・・!・・・・・・・・・!」
「・・・・・、・・・・・・・。・・・・・・!」
遠すぎてはっきりと聞こえないが、1人は大男。もう1人は女らしい。
すると、海軍の船から1艘の小船が出てきた。
「おっ、おい、こっちに向かっているぞ。」ウソップ。
「へーきだよ。とりあえず、様子見よ」ルフィ。
そして、その小船から、白旗が見えた。
「戦意は無いってことか・・・」チョッパー。
二枚目の旗には、ロロノア!来なさい!と書いてある。
「何でゾロなんかを・・・?」サンジ。
「じゃ、とりあえず俺起こしに行って来る。」
と、ルフィがそう言ってゾロを起こしにいった。
しばらくして、悲鳴があがった。
「ふぁ〜。俺に用って誰だ〜?」
ゾロがデッキチェアから起きてきた。ルフィはそこで、ピクピクしている。
(何が起きたんだ・・・?!そして、ルフィは無事かよ・・・?)
3人の胸に不安がよぎる。が、誰も質問しない。(当たり前だが)
「え。えっと、海軍から誰か来てる・・・」チョッパー。
とりあえずゾロは、その小船に向かっていった。

「大丈夫か!?ルフィ!しっかりしろ!」サンジ。
「チョッパー!手術だ!流血がひどい!意識ももうろうとしている!」ウソップ。
「ルフィ!死ぬな!麻酔!」チョッパー。
何が起きた・・・?

ゾロを待っていたのはたしぎだった。
「ロロノア。来てくれたんですね。今日何の日か知ってます?」
普通の人なら、「バレンタインデーだろ。」
と答えるのが普通だが、
「仏滅だろ。(2001年現在)」
と答える人はゾロだけだった。
一瞬えっ!?という顔をしたたしぎだったが、すぐに冷静に戻った。
「そ、そうですよね。あなたのような寝てばっかりのズボラ人間に、今日のことを聞いても意味なかったですね・・・。」
「寝てるばかりのズボラ男とはなんだ!お前そっくりのやつにも同じこと言われたぞ!
やっぱりパクッたな!」
「違います!パクリはそっちでしょう!」
「やかましい!勝負だ!」
いつもなら、たしぎから勝負なのにゾロのほうから勝負を仕掛けるのは、やはりくいなに似ている気に食わない女から、
そこまでボロクソに言われ、しかもくいなから言われた言葉であった!となればゾロがそこまでむきになるのも当然だった。
しかし、いくら悪口言われようと勝負は当然ゾロの勝ち!
だが、勝負が終わった後たしぎが言った。
「そんなに、その私そっくりの人のこと好きだったんですか?」
「ば、馬鹿!違う!」
「ふ〜ん。だから、むきになってるんですか。」
「・・・・・・。」
変な迫力があって、それ以上ゾロは何も言えなかった。
「もう帰ります。それじゃ、さようなら。」


一体あいつはなにをしたかったのだろう。
実は、ゾロはちゃんとバレンタインデーを知っている。
小さい時、道場でちゃんとチョコをもらったこともある。
だけど、たしぎの顔を見るとどうしても今日はバレンタインデーだと言えなかった。
結果:からかった訳である。
「そういうつもりじゃ、なかったんだけどな・・・。」

GM号に戻ると案の定サンジが
「おい、もしかしたら、お前チョコレート貰ったんじゃないだろうな。」
とぼそっとゾロに言ってきた。
ゾロはゾロで、
「貰うわけねーだろ。」
とぼそっと返す。
それを聞いてサンジはほっとしたが、男部屋ではルフィがひん死の重体であった・・・。

それから、しばらくして、
「おい、海軍の船なんか変じゃねーか?」



- 続く -