●●●● No.152/win様 ●●●●


君へのホワイトデー

「まいったな・・・」

今日は3/13。ホワイトデーの前日。グランドラインの中のどこかの島。
港には、海軍・行商の輸出入の船。その中に、麦わら帽子をかぶった海賊旗。
GM号。そこから、1人の男が出てきた。
ロロノア・ゾロ。5000B片手に、買い物をしている最中だった。

今は、店の中でどれを選んだらいいか右往左往している真っ最中。
選ばず、ホワイトデーにお返しをしなくてもよさそうなのだが、
バレンタインデーにたしぎからチョコをもらった事は事実。
義理とか、なんたらがゾロに「お返しぐらいしとけ!」と語りかけてくる。
でも、ずっとここで選んでいたら、仲間の無事も心配される。

色とりどりの、ラッピングがしているつつみをながめる。
どれもこれも、味が悪いかどうかなんてわからない。
それに、最大の悩み事はナミからお金を借りた事だった。

<5000B?どうして、あんたがそんなにお金を借りる必要があるの?>
<買いたいものがある>
<じゃあ、利子もふくめて3倍で返してね>
<またそれか・・・>
<そういえば、あんたの買いたいものって何?刀も間に合ってるし、それ以外は
得には・・・>
と、言いかけハッと気付き、
<ああそっか、そういう事ね。わかった。特別に3倍返しは無し!>

珍しいな。と、思ったその時だった。
<1. 5倍返しね!>
5000Bの1.5倍。7500B・・・。

どうしたものだろう。
あの、金の亡者のナミが。
5件目の店で久しぶりに頭をつかってゾロは考えていた。

すると、そこの店にちょうどたしぎに渡すのが最適だと思えるものがあった。
「これにするか。」

ゾロは小さい声でそう呟くと、それに決めてお金を払いGM号に帰ろうとすると
ふと気が付いた。
〔どうやって、渡すんだ?〕
そう言えば、相手は海軍だ。海軍の船に乗り込むなど、自殺行為ではあるし、
だいたいアホだ。
郵便で配達してもらうのも、なにか面白みが無い。

そして、もう1つ。
別に、好きだとか、義理チョコだとか、言って渡された訳じゃない。
つまり、お返ししても意味が無いのでは?

そんな事を考えつつ歩いていたら、他の仲間―ルフィ・ナミ・ウソップ・サンジ・チョッパー・ビビ・カルー―に出くわした。
それぞれ、ばらばらの方向から来たということは、買い物でも皆していたのだろう。
「うわー!麦わら海賊団集合だな。」
ルフィのその一言で、海軍が追っかけてきた!

「うわー。あいつら、しつこいな。GM号はまだか?。」
ルフィが走りながらいう。
後ろには、海軍が500人ほど追ってくる。
港は、もうすぐのはずだ。だが、ここで逃げ切ってしまえば、せっかく選び抜いた
プレゼントを渡すことが出来なくなる。

「早く!船出すわよ!」
ナミが叫ぶ。その瞬間、ゾロは海軍にむかって
「これ、海軍本部のたしぎ曹長に渡して置いてくれ!」
と叫んで、放り投げた。
中身は飴だから、多分壊れないだろうけど。

「お前、結構アホだな。」
GM号で、サンジに言われた。
「人に頼んで女の子にプレゼント渡すだなんて、相手が喜ぶかどうかわからないじゃねーか。」
確かにそうだ。でも、喜んでもらう・もらえない以前にゾロはあることを期待していた。


「たしぎ曹長!」
ここは海軍支部。3/14のホワイトデーの日。
たしぎは、なにか麦わら海賊団の手がかりがあれば・・・、と思い海軍支部に行き、そこの2等兵に呼び止められた。

「昨日、麦わら海賊団がこの街に来た時に、その中の1人の賊があなた宛に渡せと言って、
逃げていきました。」
それは、綺麗な長方形の箱だった。

中身は、刀の形をした・・・、
「2等兵さん。今日って3/14ですよね。」
「はい。」
「11/15では、けっしてありませんよね。」
「はい。」
「なんで、飴は飴でも千歳飴がはいってるんですか!!」
「さあ・・・。」

「緑色の短髪の男で、3本の刀を差して歩いていました。」
「それが、その人の特徴ですね。」
「はい。」
千歳飴(イチゴ味)をペロペロなめながらたしぎは2等兵に質問していた。
なんだかんだ言って結構幸せそうだ。

「人は誰も傷つけず、そのまま走り去っていったんですか?」
「はい。あっ!スモーカー大佐!」
振り向くと、スモーカーがそこにいた。
「たしぎ!お前どうして勤務中に刀をなめてるんだ!?」
「スモーカーさん。これ、飴です。刀じゃないです。」
「なお悪いわ!これから、海軍船に戻るぞ!」

「たしぎ。」
「はい。」
「よっぽどうれしかったらしいな。」
「はい。」
「だからといって・・・。」
「はい?」
「道端で、いい大人が、飴をなめつつ歩くな!誤解される!しかも、切っ先を口に入れるようななめ方をするな!」


はっ!
「どうした、ゾロ?」
ルフィが、いきなり起きだしたゾロにびっくりして聞いた。
「手紙・・・。書くの忘れた・・・。」ゾロ。
「平気だよ。年賀状ならもう出したし。」ルフィ。
「違う!ホワイトデーように、書くつもりだったんだ」!」ゾロ。
「へー。誰にあげたの?あの、女曹長さん?」ナミ。
「ああそうだ。」ゾロ。
寝起きのせいか、ゾロは全て白状していた。

「手紙になんて書くつもりだったんだ?」サンジ。
「『バレンタインのチョコレートありがとな。
あの桃型のチョコ、とってもうまかったぞ。』って書くつもりだったんだ。」ゾロ。
「桃型ってまさか・・・!」ウソップ。
その頃になったら、もうゾロは寝ぼけて船の外に出ていた。

たしぎの喜ぶ顔が見えたようで、少し嬉しかった。