No.204/砂糖増量中。様


本気で斬りますからね。


夜になると大体、あなたからはお酒の匂いがする。
酔っ払ってふざけてみせる、なんてことはないから、ただ匂いがするっていうだけだけど。
そんな時のキスに、最初は慣れなかった。でも今はすんなり受け入れてる。
慣れってそういうものですか?。

二人になるのはいつも夜。みんながそれぞれの時間を過ごす時間。
私はあなたと過ごしている。日課とまではいかないけれど、そこそこに。
ソファで並んで座って、あなたのキスを受けて。

「…またお酒の匂いがします」
「いつものことだろ」

そこで私は少し笑った。

「サンジさんだったら、煙草の匂いがするんでしょうね。あの人はいつも咥え煙草だから。ああ、でも
煙草の匂いっていうよりは、もうそれもあの人の匂いなのかな」
「知るか、んなこと」
「私は煙草の匂いって平気なんですよ。ほら、スモーカさんもいつも咥えていたし…ロロノア?」

見るとあなたの口元がふてくされてる。

「何を怒ってるんですか?」
「…ナミだったら酒の匂いがする、なんていちいち言わねぇだろうなぁ。あいつも酒呑むし、
オレンジの匂いで消えるかもな。あービビだったら気付きそうだな。でも口には出さないっぽいか」

今度は私がふてくされる番。だけど思ったより傷ついてしまった。
別に批判されたわけじゃないのに。どうってことない言葉なのに。
うつむいた私の頭をあなたが自分のほうに引き寄せた。

「仕返し、効いたか?」
「仕返し?なんの仕返しですか」
「俺以外の男で、変な想像するからだ。ヤニくせぇだのなんだのって」
「それならあなただって!ナミさんとかビビ王女とか!」
「だから、仕返しだ」
「…ちょっと傷つきました。なんでか判りませんけど。」
「俺は怒ってるぞ」

その言葉に顔を上げる。嘘、表情はもう許してる。

「俺は怒った。」

そう言って正面からキス。少し長めのキス。お酒の匂いが口に広がるキス。

「…もう、俺以外の男で変な事考えんなよ。次は本気で怒るぞ」
「……はい」

独占欲?それともプライド?それとも嫉妬?ただの気紛れ?
なんでもいいです。あなたに縛られていたい。

「じゃあ!じゃあロロノアも他の人の事考えちゃだめですよ」
「考えねぇよ」
「絶対ですよ、考えたら斬りますからね!」
「お前、目が本気」
「本気です!本気で斬りますからね!」

少し息苦しいくらいの強さであなたが私を抱き寄せる。
あなたの膝の上に引っ張られて、しっかりと言われた。

「お前以外の女の事なんて、考えねぇよ」

そしてキスの繰り返し。。。

夜になると大体、あなたの積極さが増す。
普段はみんなの手前からか、そんなに特別扱いはしてくれないのに。
そんな時のキスに、最初は慣れなかった。でも今はすんなり受け入れてる。
慣れってそういうものですか?。