No.204/砂糖増量中。様


本気か?


あなたの口から聞きたい言葉があるように、聞きたくない言葉もある。
お願いだから悲しい事を言わないでください。

「もう!ロロノアなんか嫌いです!」

軽くからかわれて、ふくれた私の口から出た言葉。
原因は他愛もなく、眼鏡がないと眼鏡が探せないって言って困ってた私に、眼鏡の場所を知っていながら
壊してしまったとロロノアが冗談を言った事。焦った私はおろおろになって、それを見て彼が笑った事。
そんなことはいつもある。いつものコミュニケーション。
私の言葉だって意味はなくて、ただからかわれた事をふくれただけのものだった。
なのに。

あなたの表情はとたん険しくなって、正座であなたに背中を向けていた私の膝を、無理やり自分の方へ向ける。

「んだって?」

驚いたけど、どうしても私は素直じゃなくて。

「嫌いって言ったんです」
「本気か?」

どうしたの、どうしてそんな怖い顔をしているの?いつもの売り文句に買い文句でしょう?。

「判った、じゃあな」

それなのにあなたは立ちあがって、船室を出ていこうとしてる。
私は反射的に背中に抱きついてそれを止めた。いつもならすぐに答えてくれる腕は下がったまま。

「嫌いな奴に抱きつくなよ」
「…嫌いなんかじゃないです」
「さっき、嫌いだって言ってたじゃねぇか」
「そんなの!ただの…冗談です。あなただって眼鏡を壊したなんて冗談を言ったじゃないですか」

自分は言っていいけど私はダメなの?
どうして冷たくなってしまったの?

「冗談でも言っちゃいけねぇことってあんだろうが」
「…ごめんなさい」

ようやくあなたがこっちを向いてくれる。でも表情はなくて、あの優しい目じりじゃない。
思わず涙がにじんでしまう。嫌われるのはいや。

「俺は冗談でも嫌いなんて言わねぇ」
「ごめんなさい」

もう怖くてあなたの顔を見てられない。嫌われたくない。

「ごめんなさい…」
「嫌いじゃねぇのか?」
「好きです」
「…」
「好きですロロノア。嫌いなんかじゃありません!」

涙が零れそうになった時、ロロノアの腕が私を包んでくれた。嬉しくて嬉しくて私はしがみつく。

「嫌いなんて言うなよ、たしぎ。結構…ショックだろーが」
「ごめんなさい」

あなたの素直な感想に私は本当にごめんなさいと思った。
冗談の嫌いにでも、反応してくれるあなたに、どうして冗談でも嫌いなんて言えたんだろう。

「嫌いにならないで」
「ならねぇよ」
「本当?嫌いにならないですか?」
「ならねぇ」

半泣きの私の額に彼は自分の額を当てて、微笑んでくれた。あの優しい目じりに戻っている。

「今度また嫌いって言ったら、後で何を言おうが本気にとるからな」
「ずっとずっと言いません」
「俺も言わない」

そうして抱き合って、私はロロノアの愛を確かめてた。この人に愛されてる実感がいまだに持てない時がある。
この人のこんな情熱に夢心地になってしまう。だってそれくらい好き。全部が夢だったら、それはそれで悲しいけど、
まだ実感があるのかもしれない。でも離れたくないから、やっぱり現実がいい。。。
好きです、ロロノア。。。

 

- END -