No.204/砂糖増量中。様
そうして幸せな事が増えていく。
洗濯をするのは好き。キレイに洗ったのを太陽の下に干すのが好き。
パンパンとしわを叩きながら洗濯物を干していく。
今日はすごく晴れてるからすぐに乾きそうだな、なんてのんびり考えてる。
私のシャツの次に手に取ったのはロロノアの白シャツ。
うん、ちゃんと洗えてる。汚れなんて気にしないあなたの白シャツはこまめに洗わないとね。
全部干し終わって、そこに座って甲板の様子を眺めてる。
釣りをしているウソップさんの背中、海図を見ているナミさんの横顔、カルーと笑いあってるビビ王女の笑顔。
サンジさんに間食を要求しているルフィさんの声、サンジさんの煙、そしてあなたのごろ寝。
他愛ないね。他愛ないけどそーゆうのって大切だって最近思える。
他愛ない事を自然に受けとめられるのには、気持ちのゆとりが必要なのかもしれない。
落ち込んでると何もかもがブルーに感じてしまうから。シュールになるのかもしれない。
なんにもないのに笑みがこぼれるような、そんなのは幸運だね。
そうして洗濯物が乾いていく。
サンジさんのスペシャルドリンクを飲み終わる頃には、完全に乾いてた。
洗濯物を取り入れるのは好き。太陽の匂い、ロロノアの匂い。
白シャツを手に取ると、ふんわり、あなたの匂いがする。あったかくて真っ白なシャツ。
頬を寄せて、思わず笑顔になってしまう。
ふとあなたの姿が目に入った。寝ていたはずのあなたが、まっすぐこっちを見ていた。
シャツを抱きかかえて笑ってるなんて、変な奴としか思われないかもしれない。
なんでこんな時に限って起きてるんですか!いつも寝てるのに!。
「ちょっとーたしぎちゃん。いくら好きだからってシャツにまで何してんのよー」
ジャストタイミングなナミさんのからかいに顔が赤くなっていくのが判る。
いやーーー。
「べ、別に何もしてません!乾いてるかなぁって」
「たしぎさん、くそ剣士のシャツなんて毒気の塊ですよ!どうせなら俺のスーツにしてください!」
「なんだ?ゾロのシャツはうまい匂いでもすんのか?」
「たしぎさんてかわいい。ねぇ、カルー?」
「俺も昔、洗濯物の匂いをかがれたくらい、もてたもんさ。まぁこのウソップ様の洗濯物だからな」
いやーーー。恥ずかしい!!。
横になってたロロノアが半身を起こす。
「どうせなら本体に抱きつけよ」
そーゆう問題じゃないです!。その日の昼間はそんな恥ずかしい思いをした。。。
夜になって、あなたと二人ソファに並んで座ってる。
こんな時はいつも私は猫みたいって自分で思う。あなたの肩口に甘えて丸くなってるから。
そしたらあなたも「猫みてぇ」って。
「猫でいいですよ、自分でもそう思うから」
「甘えるのは俺だけにしとけよ」
「…にゃー」
「何やってんだ、たしぎ猫。俺はまたたびじゃねえぞ」
他から見たら呆れるかもしれない。でもそーゆうのは恋人たちの特権。
恋は冷静じゃやってられないのです。
「どうだ?」
「何がです?」
「やっぱ本体の方がいい匂いすんだろ」
「もう!その話しはいいでしょう!」
ふくれる私を笑って包むあなたの腕と胸。ここが世界の全部でもいいと思う。
「…どう思いました?」
「何が?」
「……洗濯物を抱えて笑ってる私」
「抱きたくなった」
「!!そうじゃなくて!」
「抱きたくなったんだから、抱きたくなったって言ったんだ」
「どう思いましたって!」
「だから、抱きたくなったって」
「もういいです!」
わざわざそんな事を聞いた自分が恥ずかしくて、胸から出て背中を向ける。いつもの状況。
「わーった、わーった」
「何がですか!」
「かわいい、かわいいと思った。だからこっちこい」
まさかの台詞に硬直してしまう私を見て、また笑ってるロロノア。
「からかわないでください!」
「嘘は言わねぇ」
「からかうのはよくするじゃないですか!」
「からかってねぇよ。かわいいって。抱きたくなったって言っただろうが」
きゅん。いつものパターンでいつも負ける。このきゅんに私は弱すぎる。
あなたの胸に戻されて、もう逃げ出す事はしない。
ねぇロロノア、こんな二人でいいですよね。ずっとずっとこうやっていましょうね。
ずっとずっと一緒にいましょうね。
「ロロノア、ずっとそばにおいてね」
「ああ、俺のそばで猫になってろ」
「にゃーvvvvvv」
幸せって私にはロロノアの存在。不安も涙も持ってる。それでも幸せだと思えるのはあなたが好きだから。
ロロノア、ロロノア。呼んで返事がある、それだけでも幸せだと思えるのは、幸せなこと。
そうして幸せな事が増えていく。あなたのそばにいるだけで。それだけで。
- END -